Compressor スターリングエンジンの発明と開発経緯

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スターリングエンジンは、1816年にスコットランドの牧師ロバート・スターリング(Robert Stirling)によって発明された熱機関です。最初に製作されたスターリングエンジンは、作動ガス(空気)を大気圧でエンジン内部に密閉し、外からボイラで熱を加える熱空気機関でした。このエンジンの発明の動機は、当時全盛であった蒸気機関がしばしば起こす爆発事故に対し、新たな安全なエンジンを模索したことにあります。しかし、過熱によるシリンダ壁の焼損事故の多発、比出力、熱効率の伸び悩み等があり、19世紀末に登場した内燃機関の著しい技術的発達に比べスターリングエンジンは完全に遅れをとってしまい、衰退することになりました。

1938年オランダのフィリップス(Philips)社はスターリングエンジンの持つ低振動、騒音の特長に着目し携帯用無線機の電源としての開発を始めました。同社のロンビック機構、ロールソックスシールの発明は作動ガスの高圧化を可能とし、エンジンの回転数、比出力は飛躍的に向上しました。以後スターリングエンジンの研究開発が世界的に推進されました。1978年の第一次オイルショック以来、スターリングエンジンの省エネルギ、低公害、代替燃料適合性等の特長が注目され、さらに精力的な研究が行われました。

最近では、省エネルギー、環境問題などへの関心の高まりもあり、再度、スターリングエンジンの持つ理論熱効率の高さ、熱源を選ばないこと、低温でも作動可能であるという特長が注目されつつあります。また、可逆サイクルであるスターリングサイクルの特長を生かしたスターリング冷凍機は、極低温領域の用途では、次世代の冷凍機として一部実用化されています。

さらに、200℃以下というような、既存の熱機関では利用することが不可能である熱源でも、スターリングエンジンは作動するため、我々の周りに豊富にある、温泉、プラント排水等から有効な動力を取り出すことが可能です。この種のエンジンは特に低温度差スターリングエンジンと呼ばれ、当社の1kW級エンジンの開発が実用化への可能性を実証しました。